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東海道53次 45.石薬師-問屋場の図
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:松田寅藏 / 摺師:板倉秀継
浮世繪之美 - vol.3145

副題「問屋場ノ圖」とあるように、石薬師宿の中央西側にあった実際の問屋場を実景的に表現した作品です。保永堂版「藤枝」に副題「人馬継立」があって同じく問屋場が描かれていますが、狂歌入り版の方が熟(こな)れた構成になっています。御用提灯のぶら下がる問屋場内で荷物の発送を申し込み、それを受け付ける様子、外(左)で駕籠舁き、飛脚、馬方に指示し、人足が積み荷などの準備をする様子、外(右)で継立てを終えた人足や馬などがくつろぐ様子と、一連の仕事を紹介するような描き方となっています。杖衝坂を上り、石薬師宿で人馬継立てを行い、鈴鹿山麓の庄野宿に向かう実景的地理関係が想像できます。ところで、宿名石薬師は、宿場の南端東側にあった「高富山瑠璃光院石薬師寺」に由来します(『東海道名所圖會 巻の二』前掲『新訂東海道名所図会上』p317参照)。その石薬師寺が広重の絵に描かれていないということは、狂歌の方に委ねられているであろうと容易に推測できます。

上記の視点で狂歌に目を転ずると、「瑠璃の玉とも光る」という言葉は、まさに「瑠璃光」院石薬師寺を受けているということが分かります。つまり、狂歌は、石薬師で、寺に瓦を寄進し、黄金を喜捨する人は、仏教の七宝の1つ瑠璃のように光っているという内容になります。さらに噛み砕けば、石薬師が瑠璃なのではなく、喜捨・寄進してくれる旅人が瑠璃であり、旅の宿で光り輝いているという諧謔的狂歌と理解できます。もう一歩を進めれば、石薬師寺に喜捨・寄進するよう旅人に勧めているのかもしれません。もしそうならば、狂歌を詠んだ友垣真連は石薬師寺関係者の可能性がありますね。

ちなみに、保永堂版「藤枝」の方は構想図なので、「人馬継立」に込められた構想性を読み解く必要があります。すなわち、藤枝の宿場(熊谷直実縁の蓮生寺・地名おおぎ)が歌舞伎『扇屋熊谷』と重なることに気付けば、歌舞伎において平敦盛が扇屋の娘に入れ替わった経過を人・馬を取り替える「人馬継立」に掛けていると読み解くことができます。「人馬継立」自体は、石薬師を含めどこの宿場(問屋場)でも行われていることなので、それだけを以て藤枝宿を特徴づけるものとすることにはほとんど意味がありません。

石薬師 瓦と黄金 まく人は
瑠璃の玉とも 光る旅宿
友垣真連

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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