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東海道53次 40.池鯉鮒
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:遠藤光局 / 摺師:伊藤智郎
浮世繪之美 - vol.3140

保永堂版「藤川」に描かれていた八朔御馬進献の一行をやや砕けた感じで写しています。見附はありませんが、榜示杭と関札があり、「池鯉鮒」(知立)の宿場の東口に到着した様子です。おそらく、岡崎宿の引率者が池鯉鮒の宿役人に到着の挨拶をしているところで、その後、一行は宿役人の案内で本陣に向かうのかもしれません。広重が旅籠や茶屋を大きく描く場合、スポンサーや版元の宣伝をすることが多く(「鞠子」参照)、本作品にも仙女香の文字や浮世絵が見つかります。狂歌入り版「池鯉鮒」が八朔御馬進献の儀を描いた目的は、保永堂版とは事情が異なります。保永堂版は構想図なのでその構想の意味が重要ですが(本講座38の解説参照)、狂歌入り版は実景表現なので一行の旅の状況を読み解くことが大切です。すなわち、一行は、杜若(かきつばた)で有名な「八橋」への分岐道と保永堂版「池鯉鮒」に描かれた「首夏馬市」の野原を過ぎて到着しており、このまま宿場内を進むならば、西口にあった「知立神社」に至ることが想像できます。なお、池鯉鮒は馬市や談合松など馬に縁のある宿場なので、八朔御馬進献の図は、藤川より池鯉鮒の方が題材に適っていると思われます。

前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「池鯉鮒」によれば、「ちりう大明神」について、「神前の御洗に鯉鮒多きゆへ所の名とせしとぞ」とあり、また偶然かもしれませんが、本作品の表題「池鯉鮒」が横書きにされていることを勘案すると、広重は宿場名そのものに興味を絞ることとし、その他は省略してしまったようです(「広重あるある」)。そして、狂歌は、春風に知立神社の池の氷が溶け始め、飛び刎ねる鯉や鮒も春咲く花と同じであると詠っています。言うまでもなく、池の鯉と鮒で池鯉鮒を詠み込んでいます。前掲『五種競演』(p246)は、紀友則の和歌の本歌取りと述べていますが、それよりは、知立神社のお神籤(みくじ)仕立てではないかと考えています。春の訪れに錦の鯉と鮒の花が咲くのですから、これは「吉」でしょう。

春風に 池の氷の とけそめて
刎出る鯉や 鮒も花なる
狂歌亭真似言

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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