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東海道53次 20.府中
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:堀田治 / 摺師:品川勝夫
浮世繪之美 - vol.3120

副題「二丁町廓之圖」からも分かるように、狂歌入り版は駿河二丁町の遊廓を描いています。府中から24、5丁も離れた「みろく」に大門があって、「阿部川」(安倍川)のすぐ近くです(前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「府中」参照)。造りは、江戸の吉原とほぼ同じであったようです(十返舎一九『東海道中膝栗毛 二編下』岩波文庫・1973、p173参照)。保永堂版は、副題「安部川」の川越し風景を描いていますが、その川際にこのような公許の遊廓があったとは…。府中(駿府)は、徳川家康が大御所として隠居した場所なので、もちろん、特別な場所です。

狂歌は、「こひをするが」で、「恋をする」と「駿河(国)」を掛けています。そして、その駿河を受けて、遊女への恋心は駿河の富士山の高嶺ほどではなく、雪が積もることはないと結んでいます。つまり、旅人の遊女への「おもひ」に決して負けることがないと、駿河国の秀峰富士山の自慢をしているということです。廓の遊女とは一夜の遊びですからね。

広重の絵に戻ると、顔見世を覗く、鍬を担ぐ百姓姿が描かれていますが、前掲『東海道中膝栗毛』の挿絵にも棒を肩に担ぐ同様の人物が描写されています。狂歌入り版は実景表現に基づくとはいえ、弥次喜多人気を利用した構想部分も多分にあることが分かります。その他に、引手茶屋の女に案内されて入楼する紋付き姿の客、仕出しを運ぶ人物、禿か手伝いの子供の描写など、共通するところがあり、おそらく広重はこれらを意識しながら、自身で新たに描いたスケッチから、さらに数多くの人物を組み合わせてオリジナリティーを演出したようです。ただし、人物が静止画像のような棒立ち姿(?)なので、生き生きとした遊廓の賑わいが伝わってこないのが残念なところです。満月の宵に浮かび上がる遊廓表現は、『東都名所』「吉原仲之町夜櫻」(天保5~10・1834-39)にすでに見られたものの応用です。

たび人も こひをするがの 二丁まち
おもひはふじの 雪とつむらじ
皎月楼演子

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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