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東海道53次 42.宮
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:遠藤光局 / 摺師:栃木義郎
浮世繪之美 - vol.3142

狂歌入り版は、熱田神宮の浜鳥居を中心に桑名へ渡る「七里の渡し」の渡船場(熱田湊)を描くものです。保永堂版副題「熱田神事」の鳥居が明神鳥居であるのに対して、狂歌入り版が神明鳥居であるのは、前者が神前の鳥居であり、後者が浜鳥居であるという場所の違いの他、実景に基づく狂歌入り版において保永堂版の誤りを修正したという事実もあります。当時、鳥居は全て神明形式だったからです。浜鳥居の背後の湊には停泊する船、海上には帆を上げる船が描かれています。狂歌入り版の左側に建つ矢倉は、尾張藩の東御殿の一部で、前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「宮」には、「名古屋の御城六十一万九千石 尾張殿なごやの丁一里半」とあって、名古屋が東海道の宿場ではないことが分かります。また、続いて同図鑑には、「風の気遣あらば潟田へ乗るべし」、「悪風ならば佐屋へ廻るべし」と記されており、そうそう簡単な海路でなかったことが想像されます。

『東海道名所圖會 巻の三』(前掲『新訂東海道名所図会中』p18以下)には、宮は熱田宮の略訓なりとして、「熱田太神宮」の祭神五座に「天照太神、素戔嗚尊、日本武尊、宮簀媛命(みやすひめのみこと)(日本武尊皇妃)、建稲種命(たていなたねのみこと)(宮簀媛命の御兄、尾張姓、熱田神宮大宮司の祖神なり)」を挙げています。日本武尊の東征を助けた、「草薙宝剣」が御神体として祀られていることはよく知られていますが、狂歌との関連で重要なのは、熱田神宮大宮司が尾張氏である点です。尾張氏は、津守(つもり)氏(大坂「住吉大社」)や海部(あまべ)氏(丹後「籠神社」)と同族で、日本を代表する海神(わたつみ)族なのです。したがって、「わたつみを 守れる神の みや(の舩)」、つまり、「海を守る神の宮である熱田(の舩)」で狂歌が始まるということになっているのです。その船が波路豊かに往復し帰ってくるのを見るというのですから、熱田湊とその宿場の繁栄を願っての狂歌であることが分かります。

わたつみを 守れる神の みやの舩
なみぢゆたかに こぎかへるみゆ
松の屋満俊

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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