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東海道53次 27.掛川
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:堀田治 / 摺師:品川勝夫
浮世繪之美 - vol.3127

保永堂版「掛川」は橋の彼岸部分にあった秋葉道への追分を描かず、それを補うものとして、副題「秋葉山遠望」にあるように本来は見えないであろう秋葉山を画中に描き込むという方法で、掛川が秋葉山への入口にある宿場であるという特徴を示しています。これに対して、狂歌入り版は実景に即し、秋葉道の入口にあった鳥居と唐銅(からがね)製の灯籠を彼岸に描くという手法を選択しています。構想性が強い保永堂版と実景性が強い狂歌入り版との違いです。『東海道名所圖會 巻の四』(前掲『新訂東海道名所図会中』p232)には、「江戸の方より参詣するには、掛川の宿より北へ入って、森の宿へ赴き、一の瀬へ至る。…略…掛川より秋葉山まで九里半なり」と記されており、「秋葉山遠望」には相当な無理があります。なお、秋葉山には当山を鎮守する権現の社があって、火伏せの団扇を持つ天狗の姿(三尺房)としてよく知られています。保永堂版の扇子を持つ老僧は、この天狗見立てと考えられます。

狂歌入り版は、掛川宿の西側にあった二瀬川に架かる橋を渡る六部の僧、勧進僧を写すとともに、秋葉道入口の鳥居の辺りに杖を持つ秋葉詣からの帰りの旅人をも描いて、掛川宿が秋葉山への追分であることを物語る構成です。もちろん、狂歌も発句で秋葉山(秋葉講)に触れるのですが、結句に向かっては春風に揺れる「くずぬの」(葛布)を登場させます。『東海道名所圖會 巻の四』(前掲『新訂東海道名所図会中』p236)に、「名産葛布 葛布を色々に染めて、呉服の市店に出す。多くは、鞠袴に用う。これ掛川の名産なり」とあるので、意図的に名産品を歌に織り込んでいることが分かります。前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「掛川」にも、「名物 くす布」とあります。つまり、狂歌は、「秋」葉という道の名があるけれど、「春」風は「かけ」(駈け)、「かけしくずぬの」(干し掛けた、かつ掛川の葛布)が「うらヽにぞ吹」かれている(吹は同時に袋井の掛詞)と洒落ているのです。広重も、絵の背景を緑の田園風景として表現し、春の狂歌の雰囲気を壊さないようにしています。

なお、狂歌では「うらヽにぞ吹」風が、この地方では大抵はもっと強く吹き、遠州凧を空高く舞い上げることになります。春の風物詩です。こちらは、保永堂版の情景です。

秋葉てふ 道の名あれど 春風は
かけしくずぬのうらヽにぞ吹
鴟尾鳴陰

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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