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東海道53次 17.由井
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:堀田治 / 摺師:品川勝夫
浮世繪之美 - vol.3117

右側中景に家々の屋根が見えますが、これらは由井の宿場と推測されるので、駿河湾に南流する由井川を宿場の西側此岸から眺めていることが分かります。由井川は歩行渡りの川で、渇水時川筋に架けられた仮橋を旅人達が渡る様子が描かれています。中洲には飛脚、その後ろには長持を運ぶ人足がいます。保永堂版に描かれていた副題「薩埵嶺」は、前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』によれば、さらに次の宿場「奥津」近くの風光明媚な峠なので、奥津方向からやって来て、難路薩埵嶺を越えてやっと由井宿手前の由井川まで来たという感じなのかもしれません。あるいは、由井の宿場を西に発った視点とすれば、これからいよいよ峠に向かうという幾分かの決意を表現するものなのかもしれません。いずれであるかは、狂歌を読めば推察できます。

狂歌にある、「三里たけなる由井川の水」の意味が問題です。「足三里」と言い直せば、その意味が明らかになります。松尾芭蕉『奥の細道』にも登場する程に有名なツボ(経穴)の1つで、たとえば、旅立ちに際し、「もも引の破れをつづり笠の緒付替えて三里に灸するより…」とあります。実際には、膝の皿の下、靭帯の外側にあるくぼみから指幅4本分の所にあり、食欲を高めて足の疲れを取るツボと考えられています。ということは、歩行渡りの由井川の水かさがちょうど膝よりも下の、足三里にあるということを表し、「ふみ込ば草臥足(くたびれあし)も直るかや」の発句に対応させ、由井川の歩行渡りと長旅の疲れを上手く織り込んだ狂歌と言えます。この狂歌を受けて、広重は、素直に渇水期の由井川の歩行渡りを描写したということです。

芭蕉が旅に先立って足三里に灸をしたことを勘案すると、狂歌は旅立つ準備に比重があると思われ、それ故、広重の構図は、「由井」から「奥津」に向かう時間の流れを前提にすると考えられます。

ふみ込ば 草臥足(くたびれあし)も 直るかや
三里たけなる 由井川の水
結城亭雛機

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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