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東海道53次 6.戸塚
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:松田寅藏 / 摺師:板倉秀継
浮世繪之美 - vol.3106

切り通しの街道を旅人が行き交う様子が描かれています。狂歌入り版が実景図だとすると、場所の特定ができるはずです。遠くに見える家々が戸塚宿を表すものならば、その手前で道が2つに分かれているように見えます。前掲『東海道風景図会』には、「柏尾追分」とあって、「大山みち、街道の西の方にあり」と記されています。おそらく、この柏尾(かしお)の追分付近からの宿場とさらに先の鎌倉山の遠望を描いているのだと思われます。僧侶風の2人が道を上って来るようですが、大山寺とそこに繋がる大山道の記号と考えれば、柏尾の追分とする推理の証拠ともなりましょう。保永堂版が柏尾川に架かる吉田橋とそこから分岐する鎌倉道に重点を置いているのとは異なっています。

狂歌は、「とつかの驛路」(戸塚の宿場)と「とつかはと」(あわてて動作する様のとつかわ)とを掛けて遊んでいます。つまり、東海道の旅を「まわり双六」に見立てて、急いで旅をしていると詠み解いているのです。たびたび狂歌に双六がでてきますが、そこには急いでいる、せかせかしているなどの意味合いが持たされています。前掲「保土ケ谷」の狂歌と同様に狂歌自体にはそれほど深い遊びが施されている訳ではありません。しかしながら、広重の浮世絵と合わせて、さらに作品を楽しむ必要があることも、やはり、前掲「保土ケ谷」と同じであることが肝要です。

そこでもう一度広重の絵に戻り、街道上で交錯する3人の男に注目してみましょう。とくに戸塚方向に進む2人は、それぞれ棒先に荷物と書状をつけて褌一枚で駈けています。飛脚の典型的スタイルです。言うまでもありませんが、飛脚が描かれているのは、急いでいるという意味を持つ「とつかは」「戸塚」の宿場だからです。また、反対方向から荷物を担いで歩いてくる男は、急ぐ飛脚の様子を際立たせるための道具と考えれば辻褄があいます。狂歌入り版は、東海道の街道風景にたまたま狂歌が並べられているのではなく、両者が1つとなって、面白おかしい狂歌世界を形作っていると理解する必要があります。なお、保永堂版に侍が馬から飛び下りる様子や女の一人旅が描かれているのは、とつかわとしている風情なのかもしれません。

霞日を とつかの駅路 とつかはと (嫁ぐ)
いそぎて旅を 双六のうへ
遊竹館一調

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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