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東海道53次 36.御油
佐野喜版(1840)
「狂歌東海道」-横大判56枚揃物
彫師:遠藤光局 / 摺師:栃木義郎
浮世繪之美 - vol.3136

堤に生える柳の大木の前に架かる橋を、長持を担ぐ3組の人足が渡る様子を描く作品です。橋の右側、街道脇に榜示杭が立っており、本作品でも東海道の追分地点を写し取ろうとする意図です。前掲『東海木曾兩道中懐寶圖鑑』「御油」で確認すると、御油宿の東方にある(音羽)川に「まざいこばし」(御油橋)が架かり、そのさらに東側に「鳳来寺道」との追分があることが分かります。この道を「野口村」で右に折れると、浜松の茅場(かやんば)の追分に出る本坂越となります。なお、野口村から本野が原を経て豊川に至る旧道は「二見道」(本野原)と呼ばれ、『東海道名所圖會 巻の三』(前掲『新訂東海道名所図会中』p116)に、「北条平泰時本野原の道標にとて、柳を多く植えられたり」とあるので、本作品中央部の柳の大木もかつての歴史を語る記号と見ることもできます。

橋を渡る人足達の長持には、御幣、扇子、紅白の飾りの付いた傘などが立てられており、何か慶事の品を運んでいると推測されます。おそらく、近在する八面明神、御油の北西にある豊川稲荷、あるいは吉田神社(6月15日天王祭)の祭事への奉納品ではないかと思われます。柳の葉から見て、夏祭りのはずです。人足の後ろにいる筵を体に巻き付けた男は、おこぼれを期待する乞食のユーモラスな姿でしょうか。

「御油に赤坂吉田がなくば何のよしみで江戸通い」という戯れ歌があるように、狂歌は御油の女衆(遊女)を詠うものです。夕べに櫛で梳(くしげず)る、髪を梳(す)く女衆が、旅人が宿に着く夜頃には髪を上げているという意味です。女衆の出迎えを期待する旅人の心理を詠んでいます。なお、「あげ油」は、御油の語源である「天皇献上油」、すなわち宿場名「御油」と髪を「上げ」るとを掛けたものです。したがって、「あげ油てふ 宿につく夜は」は、御油宿に着く夜はという意味になります。前作品「吉田」における絵と狂歌の関係と同じように、絵の雰囲気と狂歌の内容に隔たりが感じられますが、この距離感が狂歌入り版の面白いところです。

此ゆふべ 櫛やけづらむ 妹が髪
あげ油てふ 宿につく夜は
真米垣児春

歌川廣重(Utagawa Hiroshige,1797-1858)
《東海道五十三次》爲浮世繪大師歌川廣重成名作
描繪由江戶至京都的53個宿場
包含起點的江戶日本橋和終點京都内裏共56景

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浮世繪之美

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